このページはダウン症の女流書家金澤翔子さんへの応援メッセージです。


金澤翔子を見守る人々

仏の書書家 泰書會会長 柳田 泰山

 翔子さんとの出会いは、今から十三,四年前のことでした。
ある日、翔子さんのお父さんとお母さんとの出会いで、当時、笑い話ではありますが、ご主人が「女房を日本一の女流書家にしてくれ」といわれたのがきっかけです。
当然ではありますが、「とても、蘭鳳さん(靖子さんの雅号)を日本一なんて、私の立場では出来ません」とお応えしました。
何か冗談半分、それでいて真剣な言葉遣いが、今でも印象に残っています。
それが突然のご主人の他界により、翔子さんと「書」の接点が、にわかに近づく結果となりました。

お母さんはその後、私が主催する泰書會に入会され、後進の育成に努められ、今では百五十有余の生徒を有する教室を開設されており、翔子さんはお母さんの助手として活躍されていることは、本書をお読みいただければ、すぐご理解されると思います。

ダウン症の翔子さんが「書」の指導を ・ ・ ・ ・そう思うと、私自身妙な感覚に陥った事は事実です。
私達が求めている伝統ある「書」、それも「楷書」という、書法では無二といわれる厳しさを求められる世界に、ふぅっと現れたのが翔子さんでした。

正直言ってショックでした。
そのショックの理由には二つあります。
一つは、真剣なまなざしで究極の楷書を学んでいる姿です。
もう一つは、同じ生涯を持つ十数名の生徒に、優しく愛情を持って手ほどきをしている姿です。

そこには、まるで仏の境地といった雰囲気さえ感じることがありました。

翔子さんの「書」には不思議な世界があります。
一人でコツコツと積み木を重ねるが如く、一つひとつ自分の「書」を確立させていく状況が、今でも続いています。
美しい楷書に、純粋に、ただ周りの人を喜ばせたいという気持ち、その楽しさを愛してやまない「書」に対する姿勢は、書に携わる者にとって、学ぶべきことが数多くあります。
私は翔子さんを指導するとき、何か寺院に行って仏様に手を合わせるような気持ちにもなります。

お父さんが話した「日本一・・・」は「ダウン症で日本一の女流書家に・・・」の夢を持たせてもらったようです。
そして、私自身も「書」の姿勢を、改めて人間の純粋性という観点から見つめ直すことが出来ました。

最後になりますが、今回の出版に妻子、編集者から、翔子さんに「書」を書いてもらい、本文背景に挿入する、という依頼がありました。
そこで、あえて厳しい楷書で押し通すという条件で、お母さんにもご了解いただきました。
翔子さん、頑張れ!

***参考ページ*** 書家 泰書会 柳田泰山さんのプロフィール
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